「娘は全身で「大好きなパパがここにいるの」と表現していました。うんうん、きみはそのことを、ずっと前からみんなにアピールしたかったんだよね。そんな娘を抱きしめる彼は、感無量という表情だった。「ああ、私たちは家族になれる」と、私はそのとき確信しました」(撮影:大河内禎)

プロポーズもやっぱり寝かしつけのあとで

「結婚してください」と彼からプロポーズされたのは、それから2ヵ月後のことでした。いつものように食事を終え、子どもたちを寝かしつけたあとのお茶の時間。紙袋からごそごそと小さな箱を出してこう言われたとき、嬉しくて涙があふれてきました。泣きながら「はい」と答えました。

不思議なものですね。私たちの生活も気持ちも関係そのものも、プロポーズの前と後では何ひとつ変わっていないのに、その日を境に私は、これからどういう未来を生きようかと考えるようになりました。ようやく私たちは、二人で同じ方向を見て歩き始めることができたのかもしれません。

そこから2015年10月の結婚まで、さらに1年以上かかったのは、娘の学校のことや名字が変わること、彼と私の仕事のこと、住む家のことなど、いろいろなタイミングを計らなければならなかったからです。結婚を決意するときと同様に、やっぱり、「えいっ」と背中を押してくれる何かが私たちには必要でした。そして、その役を引き受けてくれたのは、今回も娘でした。

2015年秋、運動会を目前に控えた娘が「今年は絶対パパに来てほしい」と言い出したのです。その願いを叶えたいと思いました。彼が運動会に行けば、すぐに記事が出てしまうかもしれない。だったら、これを機に発表しよう――ということで、結婚とその発表は、娘の運動会の翌日に決定(笑)。運動会当日は、発表前でしたから、いちおう「お忍び」なんですが、彼がビデオを必死になって回している姿はずいぶん目立っていたとみえて、もう完全にバレバレでした(笑)。

嬉しかったのは、家族4人の写真を、運動会のあの場で撮れたこと。これからはこうやって思い出をつくっていけるんだと思ったら、それまでのさまざまなことが一度に思い出されて、胸がいっぱいになりました。