大学進学していたらここにはいなかったかも

4歳でモデルデビューしていますから、芸歴は30年ですね。母親からは、「小さい頃から仕事の現場に入るとニコッと笑って、何の迷惑もかけずにやっていた」と聞かされています。でも自分のやっているのが「仕事」だと僕が自覚したのは、小学校3~4年の頃でしょうか。学校で友だちが「あれ出てたね」と、テレビで僕のCMを見て声をかけてきたんです。

ただ、この世界でずっとやっていこうとは、今まで1ミリも思ったことはないです。小学校の卒業文集には「将来の夢は競馬の騎手」と書いていたし、中学時代も芸能界とはまったく関係ない職業を夢見ていました。本心では芸能の仕事はやりたくないと思っていても、人から依頼されると断れない。母親はそんな僕の性格を知っているから、「いつやめてもいいよ」とよく言っていました。

実際、2回ほど仕事をやめる転機になりそうな出来事はあったんです。最初は、高校受験の頃にそれまでいた子役事務所をやめて今の事務所に入ったこと。「才能があるよ」と声をかけてもらったので、それに応えなきゃと思いました。事務所からは、同い年の小池徹平とかと一緒に、芸能活動に理解のある堀越学園への進学を勧められました。

でも僕は当時、大学に進学して普通の企業に就職したいと思っていたので、普通の高校、できれば大学付属の高校に行くという意志を貫いて、日本大学櫻丘高校に入学しました。基本的にバイトは禁止、仕事もダメだったので、単位も出席日数もギリギリだった僕のことをよく思わない先生はいたと思います。それでも応援してくれる先生はいましたし、友だちには本当に恵まれました。今でもプライベートでつるんで、すごく助けられています。

そして、何となく宙ぶらりんな気持ちだった僕に、「本当に今の仕事をやめるならここだな」という岐路が訪れたのは、大学に進学するか否かを決めた時です。もしもどこかの大学に入学していたら、そのまま卒業して企業に就職していたと思います。たぶん、この仕事はしていなかったでしょうね。