ブラック保育園にも採用されないなんて…

2軒目でも体力に懸念を示されて不採用。3軒目は、選考結果の連絡さえもらえなかった。

「4軒目の園に行ったら、子どもが野放し状態のブラック保育園でした。そんな人手不足のところでも採用されない現実に、心が折れそうになって……」

「次もダメなら、保育園で働くのは諦める」と腹をくくって臨んだ5軒目で、ついに採用された。時給は1100円、週3日・7時間の勤務で、月収10万円になる。

同僚は5人、30~40代が中心で60代は恵子さんだけ。足手まといになるまいと頑張ったが、

「30人いる園児の顔と名前が、全然覚えられないんです。顔写真を持ち帰り、徹夜で覚えました」

体の負担も大きかった。園児の粗相の掃除で頻繁にかがむため、足腰がきしんで痛む。やんちゃな子がいれば怪我しないか心配で、追いかけては息切れしてしまう。複数の幼児を預かるのはこれほど心身を消耗することかと思い知ったが、4ヵ月が経ち、少し余裕を持って仕事ができるようになった。

「相変わらず体はきつい。でも職場の雰囲気がいいし、夫と離れる時間があることで心が穏やかになりますから、できる限り長く続けたいです」


《ルポ》体が動く限り、額に汗して稼ぐワケ
【1】保育園の代わりに孫の世話を押し付ける娘。シニア歓迎の仕事を探すと
【2】医大に進学した息子の学費に、貯金を吐き出して。老後資金などもちろんない
【3】「お前が働くと、俺が恥をかく」と夫。定年後にやっと自由になって