「世の中には、説明のつかないこと、合理的じゃないことだって、もっとあっていいはずなんです。」(ヤマザキさん)

清水 面白かったんだけどなあ。宇宙人の話も、引かれますか。

榎木 ダメですね。事務所からも、「仕事が減るのでやめてください」とよく止められます。

清水 でもこのコロナ禍で、スピリチュアルな話を求める人は増えてるように思いますが。

ヤマザキ 歴史的にも、パンデミックが起きる流れのなかで、人びとはそういう話を求めてきましたよね。ノストラダムスも、「変わった預言者」みたいな扱いを受けていますが、実は彼、感染症の専門医で、ペスト治療にあたっていたんですよ。

清水 えー、知らなかった。

ヤマザキ 私のなかにも、超常現象のようなものを見たい、聞きたい、と欲している自分がいます。いま、世間に溢れているものの大半が、専門家の解説とか、合理的な話ばかりじゃないですか。でも世の中には、説明のつかないこと、合理的じゃないことだって、もっとあっていいはずなんです。

 

なぜ、「変な人」は排除される?

榎木 さっきの気の話で言いますと、私は20代の頃、薩摩示現流という、薩摩に400年続く古武道をやっていたんです。言葉を選ばずに言うなら、人を殺すための武道なので、とても強い。死ぬことを恐れない集団の武道だから。

ヤマザキ 確かに、命を惜しまない人たちが一番怖いでしょうね。

榎木 でもいろいろやりすぎたら、膝や腰を痛めてしまって。以来、筋トレは一切やめ、筋力に頼らない古武術へと移行していったんです。

清水 筋肉以外のなにを鍛えると、武術や気に繋がるんですか。

榎木 うーん。見ての通り、私は細腕ですが、日々鍛えているマッチョな方と腕相撲をしても、十中八九負けたことがありません。気、といった大げさなものではなくて、どちらかというと「思い」です。

清水・ヤマザキ え、思い?

榎木 思いで、人間なんてどうにでもなりますよ。筋力という発想は、明治維新の際、政府が軍隊を教育するためにヨーロッパから取り入れたものなんですね。おそらく、江戸時代までの日本人は筋トレをしていない。でも、日本人に本来備わっている身体能力は、すごいものがあったはずなんです。

清水 じゃあ、特別な訓練はいらないわけですか。

榎木 古武術の発想があれば、力まずに人を抱えることもできます。