気持ちが前向きになり、苦手なことにもチャレンジ

天希玲斗(あまき・れいと)さん(芸名・51歳)は、カヤックや登山を趣味にしていたバリバリのアウトドア派。まさか自分が宝塚の曲を踊る日が来るとは思いもしなかったという。

きっかけは5年ほど前。たまたまテレビのCS放送で宝塚歌劇専門チャンネルを見て、キラキラした世界に目が釘付けになった。実際に舞台を見てみたくなり、ポピュラーな演目『ベルサイユのばら』を見に行き、男役のカッコよさに心を奪われたそう。

「自分でもやってみたい! と思って、このクラスに通うようになりました。私が宝塚を好きになったと言うと、まわりのみんなはビックリ。教室にまで通うと言ったら、夫も『えぇっ!』と声をあげました(笑)」

体は硬いし、ダンスは苦手分野。通い始めた当初は振りを覚えられず、体に入るまで時間がかかったけれど、続けているうちに少しずつ覚えられるようになってきたそうだ。

「憧れの宝塚に少し近づける気がして、とにかく楽しい」という天希さん。クラスに通うようになってから、すべてに対してプラス思考で前向きになり、去年からアルトサックスとウクレレも習い始めた。

「ダンスも音楽も苦手ですが、むしろ苦手なことにチャレンジしてみたくなりました。50歳から新しいことをいろいろ始めたのは、いつまで健康でいられるかわからないし、いずれ同居している母の介護が始まると覚悟しているから。今のうちに、興味が湧いたものはなんでもやってみよう、と思ったのです。まだまだ脳をフル回転させないとついていけないけれど、続けられるだけ続けたい」

初嶺さんの動きを真剣な表情で見つめる受講生たち。1回のレッスンで1曲を完成させる