私は時々奴隷扱い

娘は毎日お弁当を持っていく。私はかれこれ、幼稚園時代から8年ほどお弁当を作り続けている。やればできるもので、10分足らずで毎朝お弁当を完成させる素早さが身についた。とはいえ、作り置きや一品ずつ冷凍してあるもの、冷凍食品にもお世話になっている。キャラ弁にはほど遠く、茶色いオカズが目立つ。

「ママのお弁当より、パパの作ったお弁当のほうがいい」

8年前に離婚した夫は二駅離れたところに住んでいて、娘は週に一度パパ宅に泊まりに行き、そこから学校に行く。

「ママのお弁当のどこがイヤなの?」
「なんか」
「なんか?」
「きたない」
「ちょっと!」
「聞かれたから」
「聞いたからねー。どんなの入れてほしいの?」
「M(お友達)のお弁当に入ってるのを入れてほしい」
「どんなの?」
「おみくじ付きの、スイートポテト」
「おみくじ? おみくじがついてるの?」
「ついてる」
「いらないでしょう、お弁当の時間におみくじ」
「いる。何を入れてほしいかママが聞いたから」
「はい、ママが聞いたからねー。わかりました」
「サミットに売ってるから」
「調べたの?」
「うん、近くのサミットじゃないほうのサミットにあるって」
「わかりました」
「パパんちの近くのほうの、サミット」
「わかった」
「いま買いに行って」
「明日行くね」
「いま行って」

時に私は奴隷のような扱いになる。そして、時に言いなりである。
「わかりました。行ってきます。お弁当の彩り問題はブロッコリーで解決します。緑色だからキレイでしょ」
「あんまりブロッコリーにばっかり頼らないで」
「わかりました」(わからないけど)

ブロッコリー入りお弁当