「私も含めていまの多くの大人たちは、自分たちにとって都合の悪いことを子どもに指摘されたとき、きちんと答えられないのではないでしょうか」(真山さん)

欅坂46からのメッセージに応えたい

――12歳という年齢も絶妙でした。子ども過ぎず、大人になるには早い年齢で……

この年齢設定には理由があります。実は私の最大のライバルが、12歳のときの自分なんです。12歳というと小学6年生で、学校では一番偉い存在ですよね。大人が見てるものはほぼすべて見えていて、世の中の仕組みも不条理もわかる。親や学校の先生、大人の言うことに矛盾があれば気づくし、反抗だってできる。私も当時は、親に何か言われても「自分たちができもしないのに子どもに言うな」とか、学校の先生に対しても「なぜ子どもの自由を奪うのか。基本的人権の侵害です」とか言って闘っていましたね(苦笑)。

大人になってからも、「あの時の自分にいまのあなたがしていることはちゃんと説明できるのか」と、ずっと自問自答してきました。私も含めていまの多くの大人たちは、自分たちにとって都合の悪いことを子どもに指摘されたとき、きちんと答えられないのではないでしょうか。その態度が、子どもたちが未来に対して絶望してゆく理由となっているのかもしれない。子どもの問いに向き合える言葉を大人は持つべきなのです。

実はこの作品が生まれたのは、数年前の紅白歌合戦で、欅坂46の歌う『不協和音』を聴いたことがきっかけです。秋元康さんがプロデュースするAKB48や乃木坂46の歌を、それまであまり聴いたことがありませんでした。たまたま、仕事の合間に紅白歌合戦を見て、『不協和音』を聴いたときにふと、「こういう若者の、『私は嫌だ』というメッセージを、大人はきちんと受け止められるのか」と、12歳の私が、いまの自分に問いかけてきた気がしたのです。その瞬間に作品のモチーフと『十二歳の革命』というタイトルが誕生しました。


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ドラマ『当確師』は、12/27(土)21:00より、テレビ朝日系にて放送

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