つらかったのは、口の中の疱疹

入院と言われましたが、治療は薬を飲んだり点滴したりで、あとは寝ているしかありません。それなら仕事をしたいと、通院治療で痛みに耐えながら仕事をしました。

仕事のときは、ヘアメイクさんに髪の毛の分け目を変えて疱疹が目立たないようにしていただいたり、顔の右側に視線がいくように、髪の右側にだけ赤いハイライトを入れたりと、工夫して……。

つらかったのは、口の中の疱疹。痛みで食事もままならなかったんですが、私の場合、食べるロケも多くて。一番痛みがひどいときに、めちゃくちゃでかいハンバーガーを食べるロケがあったんです。そのときはもう、気合いだけでカーーッとかぶりつきましたね(笑)。

ふだんは唯一食べられたソフトクリームをずーっとなめてました。しっかり食べられないと、人間って痩せるものですね。あっという間に10キロも体重が減ったんですよ。長男が「おかんのウエスト、初めて見た」と記念写真を撮っていました。(笑)

結果的に3ヵ月ぐらいで外見と耳はすっかり回復しました。ただ、今も唇の周りや口の中の左側は痛くて、だから何を食べるにも左側では嚙めません。「帯状疱疹後神経痛」という慢性の神経痛で、数年か、人によっては一生残るそうです。

私は20代でメニエル病に罹り、40代でそれが再発。漫才をやめようかと悩むほどつらかったけど、10年がかりでなんとか回復しました。今も薬は時々飲んでいますけれど。だから今回の神経痛とも共存していこうと覚悟を決めました。