うち飯でカンパイ! 自粛生活でオンライン飲みが全盛の今、ほんのひと手間でこだわりのおつまみを作るのはいかが? 和洋中・エスニックの料理に精通するフードジャーナリスト・野澤幸代さんが、とっておきのお酒とメニューを提案。今回は土鍋つまみのレシピです。(文・イラスト=野澤幸代)

※本記事は、『幸福の晩酌 胃と心にやさしい94皿 』の一部を再構成したものです。

韓国の薬草酒に、グツグツ、フワフワの土鍋つまみ

京都にある高麗美術館主催のツアーで真冬のソウルに行ったことがあります。浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の足跡を訪ねるのが目的です。

江宮隆之著『白磁の人』でご存知の方も多いと思いますが、浅川兄弟は日本統治下の朝鮮で民藝の美を見出し、柳宗悦とともに1924年、ソウルに朝鮮民族美術館を設立した人。同行した学芸員の解説つきで博物館や郊外の窯元を巡り、巧さんのお墓参りもした中身の濃い旅でした。

『幸福の晩酌 胃と心にやさしい94皿(電子版)』著:野澤幸代(中央公論新社)

豚ポッサム、韓定食、参鶏湯(サムゲタン)、ソルロンタンと食事もなかなかのもの。韓定食の店に総勢40名で入ったときは、1人20品が卓上にびっしり並んで壮観でした。

このとき食べた具のないおからのチゲは、やさしい滋味。韓国では水につけた大豆をつぶして作りますが、手軽なおからを使って具も増やし、おつまみ用にアレンジ!

トゥッペギという土鍋で煮ると火傷するほど熱くておいしくて、お米の薬草酒「百歳酒(ペクセジュ)」が進みます。もう一品、ふわふわの蒸し卵を土鍋で作りましょう。

〈百歳酒〉
製造元は韓国の麴醇堂。生のもち米に甘草やクコなどハーブ10種を加えて発酵させた、アルコール度数13%の酒。生米発酵法によってアミノ酸が多くなり、二日酔いしにくいといわれる。飲み口はフルーティー。