101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

<100歳の100の知恵 10>

『子がいなくても「節句祝い」で心が華やぐ』

私には自分の子どもがいなかったので、子どものために端午の節句を祝うこともありませんでした。でも、年中行事は心がやわらぐので、ひとりの暮らしのなかでも節句を味わっています。

たとえば三月三日の桃の節句になれば小さな内裏びなを飾り、あられや白酒をお供えし、桃と菜の花を活けます。ちらしずしと蛤(はまぐり)のおすましも、欠かせません。

五月五日の端午の節句が近づくと、菖蒲を活けて、菖蒲湯をたて、ちまきを食べます。

九月九日の重陽の節句は、菊の節句ともいわれるので、菊の酢の物を楽しんだり、さかずきに菊の花びらを散らしたりします。

年中行事を祝うと、季節感も味わえるし、なんとなく心が華やぎます。「ひとり節句祝い」も、なかなかいいものです。
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