ごはんの1口目は彼らの口元に

長女が結婚する時も、次女の時と同様にトミーの2番目の弟を迎え、長女によって「マック」と名付けられた。トミー、ぎんじ、マックを交えて私たちは頻繁に電話で話し、その日の様子を写真に撮って送信し合うのだった。

2年前には次女が家に戻り、2匹のクマとの生活はいっそう楽しいものに。次女と私はクマ兄弟のためにお揃いの服を作り、セーターやTシャツ、甚平など、季節に合わせて着替えさせている。それぞれの部屋で一緒に眠り、朝食のトーストの1口目はトミーの口元に運ぶ。神様へのお供えのような感覚で、そうすることで本当に食べてくれたことになる、と心のどこかで信じている。

次女が出かけた後は2匹並べてソファーに座らせておくが、昼食やおやつの1口目は彼らの口元に運ぶ。天気の良い日に干した布団の上に並べて寝かせ日向ぼっこをさせることも。

時に冷静になって、「私たち、ちょっと変だよね、毎日こんなことして。外の人に知られたら頭がおかしいって思われちゃうかな」などと話すことがある。でもいや、これでよいのだと思い直す。

動かないけれどこんなにもかわいくて、ちょっと喋らせたり動かしたりするだけで気持ちは十分満たされる。そしてかわいがるほどこちらの気持ちを受け止め見守ってくれるように思えるのだ。

トミー、35年間ありがとう。大好きだよ。これからもよろしくね。


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