家族は、よけいなことを言ってくるもの
バービー 書いてみて、わかってくることもありますよね。
いとう 自分が体験したことのない状況に主人公が置かれたとき、「僕はこんなこと思わないのに、なんで僕と重なってるはずの主人公がこんなことを言い出すんだろう」っていうことが必ず起きる。要するに、自分じゃないもので、自分ができている不思議を知る、とでも言うのかな。面白いですよ。仕事中、「早く家に帰って、小説書きたい」って思うことあるもん。
バービー 私たちの仕事は傍からは遊びのように見えて、それが大事なインプットの時間、ということがあるじゃないですか。そういうときに家族から話しかけられたりしたら、お2人はどうしますか。
いとう 僕はツイッター見てるときでも、「ごめん、いまちょっと仕事中」って言っちゃってるかも。
清水 家族もだんだん察してくれるようになるしね。
バービー 私は、誰かと同じ空間で共生しながら、創作の脳みそを持てるのがすごいなって思っちゃうんです。
清水 でもね、創作を極めていく過程で、独り身ゆえに自分の首を絞めてしまうことってあるかもしれないよ。
いとう 家族は、よけいなことを言ってくるものなんだよ。「天気がいいのに、なんで散歩しないの?」とか。でも、結婚生活からしか生まれないギャグもある。昔、(くりぃむしちゅーの)上田くんに、結婚はしたほうがいいか聞かれたとき、「笑いのことを考える時間は減るかもしれないけど、夫婦の間とか親子の間じゃないとわからないユーモアは絶対あるから、それもあっていいんじゃない?」って答えたことがあって。それはまあ、いまもベストな回答だと思ってます。
バービー パートナーがいるのはいいと思うんですけど、日本の婚姻制度には前向きに捉えられないところがあるんですよね。それに、まだいまの自分は「散歩に行ったこの時間で、もしかしたらなにかできたかも」と思ってしまいそう。
清水 結婚というスタイルは、無理してとらなくていいと思う。でも、誰かと暮らす以上、「1人だったらもっとなにかできたかも」は相手も考えてるかもしれないね。