八塔寺ふるさと村(岡山観光WEB・観光スポットより)

母親がダイナマイト心中した山のすぐそばに

美子ちゃんは、東京生まれの東京育ちで、山奥の村などが大好きなようでした。イノシシが獲れると村人が集まって肉を分け合っていたとか、祭りの夜は夜這いがあったとか、ぼくの子ども時代の話をすると、すごく喜んで聞いてくれます。

自分が山奥出身だということがコンプレックスだったのですが、興味を持ってもらうと逆に自慢したい気持ちにもなり、美子ちゃんにぼくが生まれた村を見せたくなるのです。

墓参り旅行のきっかけは、ネットで見付けた「八塔寺ふるさと村」でした。地元の隣り村に八塔寺と高顕寺という2つの寺があって、その地域を八塔寺村と呼んでいました。そこに「八塔寺ふるさと村」という観光スポットが、いつの間にか出来ていたのです。

どういう所かというと、岡山観光WEBサイトにはこう書かれています。

——標高400mの高原に開ける「八塔寺の村」。高野山に並ぶほど仏教が栄えたこの村も、今では戸数約13戸、ふるさと村のシンボル的存在の「カヤ葺き民家」と寺院からその歴史がほのかに漂うそんな心あたたまるのどかな景色の中を、時計を外してのんびり散策すれば、遠い昔にかえったようななつかしい思い出がいっぱい。付近には民宿・レクリエーション・レストランなどの施設も整備されています。

ぼくの生まれた村に行くといっても、泊まるところが問題だったのですが、「八塔寺ふるさと村」には、お寺がやっている民宿や、泊まって自炊も出来る八塔寺山荘というカヤ葺き一軒家や、外国人と泊まれる国際交流ヴィラなどがあるのです。

さらに、村には不釣り合いの「岡山国際サーキット」というサーキット場が、母親がダイナマイト心中した山のすぐそばに出来ていました。調べてみたら、何と1994年と1995年にF1「パシフィックグランプリ」が開催されていました。しかし、サーキット場までの道路が狭く大混雑したり、宿泊設備が足らなかったりで、以後F1レースは開催されていないようです。秘境で育ったことを売り物にしているぼくにとっては、とんでもないものが出来た訳ですが、ちょっと見ておきたい気持ちもありました。