期待に応えないと議員になった意味がない

新座市内で票を入れてくれそうな知人は、50人に満たない。それでも自分の思いを伝えれば共感してくれる人がいるはずだという信念のもと、20年元日の早朝から、新座駅前に立ち始めた。

子ども用の黄色い通学帽をかぶり、「NO虐待! NOいじめ!」の札を首からかける。信号待ちをする人が聞いてくれるように、2分間で話をまとめると決めた。徐々に応援する人が増え、「おばちゃん、頑張って!」と声がかかるようになり、子どもたちも「みさえちゃ~ん」と声援してくれるようになった。

選挙では1448票を獲得し、晴れて「議員1年生」となった上田さん。

「ようやく議会がどういう場所か、わかってきたところです。まだまだ勉強も足りないですし、失敗ばかりですよ」

とはいえ、通学路への防犯カメラの設置を提案するなど、さっそく子どものための政策作りに励んでいる。今後取り組みたいのは、DVで逃げてきた母子のシェルターを作ること。また、子ども食堂も定期的に開催したいという。

「私が当選できたのは、『このババァなら何かやってくれるんじゃないか?』という期待感があったから。それに応えないと議員になった意味がないし、投票してくださった方に申し訳が立ちませんよ。次の市議選の時、私は81歳ですから、もう立候補は難しいかもしれない。だから、これからの3年が勝負。私の役目は礎を作ること。絶対に同じ思いで後に続く人が出てくると信じているんです」

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信じて行動に移せば、仕事での夢は何歳になっても実現できる。お会いした4人の女性が、それを教えてくれた。


《ルポ》「いつか」はいま!新しい扉を開いてみれば
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