選挙活動中の上田さん。選挙カーに片目を入れた達磨を積んでいた(写真提供=上田さん)

麺家うえだは、ラーメンの超有名店に

「息子は、『お母さん、もう十分働いたでしょう。そろそろ楽したら?』と、商売をやめるよう勧めてくれたんです。でも、家にいて、作ってもらった食事を食べるような毎日は私にとって幸せなのか。まだ頑張れるんじゃないか? と思って」

そこから豚骨と魚介を合わせたスープを研究し、不死鳥のように復活。リニューアルした麺家うえだは、超有名店となった。

そして76歳になって、前述の通りラーメン店経営から卒業することを決心。次の道が、市議会議員になることだった。飲食店を経営するなかで、来店した暴走族の若者たちから悩みを打ち明けられた経験も多かった。話を聞いてやり、働く意欲がある子を店員として雇ったことも。家庭に居場所を失った子を長年見てきたからこそ、残りの人生は次世代の子どもたちのために使いたいと思ったのだ。

それまで政治に興味があったわけではないし、選挙に関する知識もない。知り合いの議員に相談したら、「上田さんの年齢では難しい」と言われた。

「それでもね、すぐには諦められないですよ。2ヵ月後にまたその方にお会いした時には、『考えは変わりません。《77歳の新人》をキャッチフレーズにして立候補します』と答えました」