極度のストレスから顔面神経麻痺に
口下手な夫は、不満があると突然、家具に当たり散らした。原因がわからず家族はおびえ、私は40歳を過ぎた頃、極度のストレスによる自律神経の乱れから顔面神経麻痺になった。
顔半分の麻痺は表情を奪い、日常の家事はできたが食事はこぼし、歯磨きも会話も不自由で情けなかった。仕事も断念するしかなかったが、しかしこんな形で神様が休みをくれたと開き直るのも、我ながら早かった。
一度、子どもの進学で費用がかさむことを夫に相談したら、私の親に借りればと一言。期待はしていなかったが愕然とし、この時、心の中で夫を見限った。もう、自分が何とかするしかない。
顔面神経麻痺は1年かけて快復、その後私は、働き方改革を実行することに。ダブルワークをやめ、それまでの収入より少しでもプラスになる営業職へと転職した。
新しい営業の仕事はやりがいがあり、時間もある程度は融通がきく。自宅に立ち寄り夕食を作れた日は、残業もできた。自分のペースでこなし、何より結果を出せば収入に跳ね返ってくる達成感があった。
やがて子どもたちも進学し、気持ちに余裕ができた。恋の予感にドキドキしたのもこの頃である。しかし悲しいかな、稼がねばの思いは脳に強くインプットされていて、仕事優先の日々は変えられない。貧乏性になっていたのだ。