純粋に「自分が気持ちいいから」

また、ノーブラ派もロックダウンを機に増えたらしい。25歳以下の女性でノーブラ派は18%、数としては少ないがロックダウン以前(4%)の4倍超に急増したという。

その理由はといえば、単純に「気持ちいいから」が53%。友人の一人が「おっぱいの重みを感じるのってこんなに気持ちいいんだね!」と言っていたが、自分の身体を再発見した人は多い。「『女性は身体を隠すべし』と社会が押しつけたブラを身につけるのに反対」といったフェミニスト的なイデオロギーとは異なる。

ここで是非を論議したくはない。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下にあったフランスの女性たちは抵抗運動として化粧をし、物資不足の中でもモードに凝ったという。当時20代前半だった義母は「それが生きるモチベーションを刺激したから」と言っていた。その反対に、同時期のドイツでは政権によって「自然であること」が良しとされ、女性たちはメイク離れした。私たちは、いつも時勢や世間の目に翻弄されながら、化粧をし、装ってきた。

しかし今度ばかりは少々違う。他人のためではなく、社会に同調するためでもなく、あくまで純粋に「自分が気持ちいいから」である。主義でも運動でもないところが新しい。(パリ在住・プラド夏樹)