久保田早紀のシングル「異邦人」(79年10月発売)。作詞作曲は歌手本人によるもの。編曲で民族楽器のダルシマーが使われるなど、エキゾチックなイメージが前面に

「人に委ねる勇気」もまた、スターの才能の一つ。求められるイメージに応えるのも大切ですが、ときにはまったく違う印象の歌を歌うなど、いい意味でファンを裏切り、新鮮さを保つこと。そしてプロデューサーはじめスタッフと協力する懐の広さも、アーティストには必要だと私は思います。

今年デビュー50周年を迎える郷さんとは長い付き合いになりましたが、きわめてセルフプロデュース力が高い一方で、周囲の意見にも耳を傾ける姿勢は昔から変わりません。スターという存在と、社会人としてのあり方を大事にするバランス感覚には驚かされます。

 

美空ひばりを国民的な大スターにした母

これまで私は多くの芸能人を間近に見てきましたが、大成する人は、若い頃から自分を律する強さを持っているという点が共通しています。清潔な心が筋の通らないことを拒み、決して流されない。その根底にあるのは親御さんの存在だと私は思います。

「花を愛で、その根を想う」という言葉がありますね。絢爛豪華に咲き誇る蓮の花は美しい。でも、その下の泥の中には、悪い虫も巣食っている。それから花を守り抜き、支えるのが根──つまり、親なのです。しかし、この世は成長を支える根ばかりではないのも事実。タレントの親が金銭をめぐり、我が子の懐に無遠慮に踏み込むような真似をするといったケースなども珍しくありません。