頭、体、時間を使いきる

昨年、私たちは新型コロナウイルスの感染拡大という、それまで経験したことのない災いと出合いました。私自身は、コロナ以前と生活のスタイルはまったく変わっていません。もともと外食をほとんどしないので、今も時々仕事のため料理スタジオに行き、あとは家で本を読み家事をするという、いつも通りの日々です。

ただ、家で過ごす間に、コロナが人間に何を提示しているのかをじっくり考えることができました。感染者数に怯えて一喜一憂していると物事の本質が見えなくなりがちですが、一歩引いて、俯瞰で地球のことを考えると、いろいろなことが見えてくるのです。

どんな生物も、増えすぎると必ず病気などで絶対数が減る現象を招くそうです。植物もそう。密に植えて風通しが悪くなると病気になるし、鉢の中で増えすぎると根詰まりを起こして弱ります。

人間は自分たちを特別だと思っているかもしれませんが、例外ではないはずです。人が「始末のいい暮らし」を忘れると、何かしら災いが起きてしまう。いたずらに物質を消費するばかりでなく、自分の頭と体、時間を使いきることで人生は豊かになるはずです。私も、自分自身を使いきり、「十分に生きた」と思える人生を送りたい。そう思います。