タコ→イカ→サケ→サバ

順調に目方は減るものの、だんだん飽きて気分が悪くなってきた。そこで次はイカに目をつけ、スーパーで缶詰を大量に買い込む。やわらかそうなその切り口。静かに噛みしめれば、コクとうまみが口いっぱいに広がる。その後、サケ缶、サバ缶に移行して、またタコに戻る。

炭水化物が恋しくなったら、寒天のカップ麺をすすって食いつないだ。10年前と同じ、目標の52キロまではあと10キロだ。「痩せたわね」とのお褒めの言葉をいただけるようになったし、体調もすこぶる良い。ベッドに横たわってのヒーハーヒーハーもすっかりなくなった。

そこでふと立ち止まる。「ひょっとしたら塩分を摂りすぎかも……」。でも、体調がこんなにいいのだから大丈夫なはず。今はこの方法しか考えられないし、なんといっても缶詰やカップ麺は、カロリー計算が楽なのだ。おまけに世間ではちょっとした缶詰ブームが巻き起こり、レシピ集まで出回っている。

缶詰は栄養価が高く、特に汁には体にいい成分が凝縮されているから「飲め」というではないか。なんだか自分の減量法に勇気と自信が湧いてきた。そんなときだ、「主婦健診のお知らせ」を受け取ったのは……。体重は戻ったものの、太っていた頃のことを考えると病気になっていてもおかしくはない。健診を受けることにした。