こちらから押し掛けてムチャクチャ吹いて帰る

2002年の暮れに、写真家の荒木経惟さんの忘年会「アラーキー夜の紅白歌合戦」(カラオケ大会)が新宿のバーでありました。荒木さんが『週刊大衆』で連載している「人妻エロス」のプロデュースをしているライターの島本慶さんは、その時「甘えたい」というオリジナル曲を、友人の岩田次男さんのギターで唄いました。荒木さんから「50にもなったら人の歌を唄うんじゃない。自分の歌を唄え」と言われて、忘年会の前日に岩田さんと30分で作った歌でした。

この歌が忘年会で評判になり、荒木さんに「歌手デビューしろ」と言われて、岩田さんの伴奏で島本さんがオリジナル歌謡曲を唄う「ペーソス」というバンドが誕生しました。島本さんは、「甘えたい」を作ってから次々と歌が湧き出るようになり、5曲ほど曲が溜まったので、クエストという会社から『甘えたい』というCDが発売になりました。その後、専属司会者のスマイリー井原が加わり、P-VINE RECORDSに所属してCDを3枚出したところでP-VINEを辞めました。現在は、CD制作もライブのブッキングも自分達でやっています。

そのペーソスのライブに、ぼくはサックスで参加するようになったのです。と言っても頼まれた訳ではなく、出たい時にこちらから押し掛けてムチャクチャ吹いて帰るということをやっていたのですが、2012年に「社会復帰する」と言ってギターの岩田さんがやめて、米内山尚人くんという若手のプロギターリストが入ったのをきっかけに、ぼくもレギュラーメンバーになりました。そして、何年か前にクラリネット奏者の近藤哲平さんが加入して5人編成になりました。つい最近まで、メンバーの年齢が30代、40代、50代、60代、70代だったので、そのことを売り物にしていたのですが、米内山尚人くんが30代から40代になってしまいました。