味見をしないで料理を作る
成功するために、周囲にもダイエットを始めたことを告知するよう言われます。また、家族への協力を仰ぐようにも指示されました。なんせ、一家の料理番がダイエットすることは拷問なんです。美味しい白ごはんを炊いて、脂たっぷりのおかずを毎食調理しないといけない。私は家族にことわって、味見をしないで料理を仕上げることにしました。だって、一口でもカロリーはありますし、一度味見したら止まらなくなりそうなくらい追い詰められましたから。20年の主婦歴が幸いして、なんとかいつものように作れたつもりでしたけど、どうだったんでしょうか……。
そして、おいしそうに出来上がった料理を家族に供し、「ロウソクでできているすごい不味いものなんだ」と自分をマインドコントロール。約半年に及ぶダイエット中の糖質に対するマインドコントロールが効きすぎて、未だにケーキは怖くて食べられません。(笑)
そして元木家の外食は、焼肉が定番。私は美味しそうに食べる家族を恨めしげに眺めながら、野菜とタラのスープをすすりました(タラは高タンパク低カロリーなので)。これまた定番のお茶の時間も、「ダイエット中の母のために廃止」とはならず、あろうことか支度だけを頼まれる。厳選されたお取り寄せの贈答品を、生唾を飲みながら我慢。子どもたちは「ママが食べられないのにごめんなさい」くらいは言ってくれましたが、夫は終始一貫してSっ気全開。これ見よがしに「俺がママの代わりに食べてあげるから」と大口を開けてシュークリームを平らげるのです。
そんな歯ぎしりをするような忍耐を続け、1ヵ月ほどすると諦めの境地に辿りつきましたが、ときどきまた、無性に食べたくなる……つらかったです。通っていたRIZAPのある町田の街を、飲食店の誘惑を断ち切るために首を垂れて歩きました。だってまんじゅうからラーメンから、美味しそうなものがこれでもかというほど並んでいるのです。そんな我慢をした後に、体重や体脂肪が減っているかと言えば、そうでもなくて、何度も絶望的な気持ちになりました。