吉永小百合「2年前から筋トレを始めました」
吉永 人生のエンディングに関して言えば、私は絶対にボケたくないと思っていて(笑)。そのために何をしたらいいのか、南先生に教えていただければ。もともと体を動かすことが大好きなので、週に2回はプールで泳ぎ、週に1回、ジムに筋トレに通っていますが。
南 運動はとても重要です。何もしていないと、年齢とともに全身の筋肉が細くなっていくため、些細なことで転んで骨折し、寝たきりになる可能性があります。最後には肺炎になって、ドミノ倒しのように亡くなってしまう。それを防いでくれるのが運動なんです。運動することで脳にある海馬の血流も増えて、認知症を予防する効果も期待できると言われているので、おすすめです。
吉永 私たちくらいの年代になると、転んで骨折するのが一番怖いですからね。水泳は骨に負荷がかからないから、骨密度がアップしない。それで、2年前から筋トレを始めたんです。水泳はかれこれ30年以上続けているので、私にとっては、ある意味、癒やしの時間。魚になったつもりで泳いでいると、心身ともにリラックスできると言いますか。でも、筋トレはまだ初心者ですから、新しいことを習うのがとても楽しいんですね。
南 きちんとトレーニングしていらっしゃるから、姿勢がいいんですね。私自身は水槽の中に浮かんでいる金魚のような生活ですから(笑)、吉永さんを見習わないと。私に限らず、特にこのコロナ禍で、運動不足の女性が増えているので注意しないといけません。
吉永 確かに、まだまだコロナ禍が続いているので、気持ちが晴れないときも多いです。でも、こんなときだからこそ、いい音楽を聴いたり、いい映画を観たり、いい本を読んだりして、素晴らしいものに触れて感動する気持ちを大切にしなきゃいけないなって。
南 私も60代になったので、あちこちにダメな部分が出てきて落ち込むことも増えました。でも、そんな自分を受け入れて、許してあげてもいいんじゃないか、と。そのうえで、今、吉永さんがおっしゃったように、いい映画やいい本に触れて、マイナスに傾いた心を前向きに転じていけたら。
『いのちの停車場』は、私たちが天国へ旅立つ電車を待つ間の停車場で、どう過ごすかということを考えさせられる映画だと思います。ぜひ、ご覧いただければ嬉しいです。
吉永 本当に、今は誰にとっても先が見えない世の中です。だからこそ、たとえ、どんなふうに生涯を終えようとも、自分が後悔しないために、その日その日を精一杯生きていけたらいいですね。