「ひとつずつの積み重ねが自信につながり、『ここにいていいんだ』『ここにいるべきだ』と感じられるようになりました」(撮影:宅間國博)
抜群のスタイルを生かしてモデルデビューした宮沢氷魚さん。その後、俳優活動をスタートし、ドラマ、映画、舞台へと活躍の場を広げている。コロナ禍による自粛中、心の支えにしていたものとは――(撮影=宅間國博 構成=篠藤ゆり)

足首におもりをつけて稽古に臨んだのは

2017年にデビューして以来、ありがたいことにさまざまな役を演じさせていただきました。最初は芝居について何も知らないし、要求されたことになんとか応えるのに精いっぱい。自分が何をやっているのか実感がないまま、あっという間に時が過ぎていきました。

でも、作品ごとに自分に返ってくるものがあります。ひとつずつの積み重ねが自信につながり、「ここにいていいんだ」「ここにいるべきだ」と感じられるようになりました。

2020年春には、渡辺謙さんと共演の舞台『ピサロ』に出演。まだ役者としてさほど経験のない僕が謙さんと同じ舞台に立てるなんて、本当に恵まれていると感じました。

謙さん演じるピサロは、16世紀に寄せ集めの兵を率いてインカ帝国を征服した、成り上がりのスペインの将軍。僕が演じたのは、インカの王アタウアルパです。芝居中の謙さんは圧倒的に大きく見え、胸のあたりからパワーが飛んでくるのを感じました。

けれど、太陽の子と称される王を演じるからには、負けるわけにはいきません。お互いのエネルギーが拮抗してこそ、アタウアルパとピサロの関係性が鮮明になる。