正直、とてつもないプレッシャーで……。稽古中、緊張すると身体が浮いて、気がつくと胸で呼吸していた。これでは弱々しい王になってしまう、地に足をつけなければと思い、稽古中盤からは足首におもりをつけて臨みました。
こうして迎えた本番ですが、その頃は新型コロナウイルス感染が広まりつつある時期で、毎回「これで終わりかもしれない」という緊張感に包まれていたのを覚えています。多くの人に観に来ていただきたいけれど、この状況下で続けていいのだろうかという葛藤も大きかったです。結局、45公演中10公演行ったところで中止となりました。
気持ちも身体も45回のつもりで作ってきたので、残り35回分のエネルギーをどこにぶつけていいかわからず、心の整理をつけるのに時間が必要でした。ただ中止が決まった日、劇場で謙さんが放った「またやるぞ!」の一言が、大きな支えになって。謙さんがそう言うのだから、きっといつかまたできるに違いない。そう確信したのです。
祖母も喜んだ朝ドラ出演
ステイホーム中は気持ちを切り替え、のんびり過ごすことに。せっかく時間があるのだからと、煮物、カジキのレモン風味ソテー、フレッシュトマトから作るミネストローネなど、いつもより時間がかかるメニューに挑戦し、毎日ほぼ3食作っていました。もともと料理は得意。甘いものも大好きで、以前はクッキーを焼いて稽古場やスタジオに差し入れたりしていたんですよ。