大相撲夏場所もいよいよ千秋楽となりました。昨日の取組では、勝てば優勝が決まる大関照ノ富士でしたが、対戦相手の前頭8枚目の遠藤に敗れ2敗。これで賜杯の行方は今日の千秋楽までわからなくなりました。『婦人公論』の愛読者で「人生の大切なことはすべて相撲から教わった」というしろぼしマーサ。連日テレビで観戦を続ける彼女がここまでの熱戦を振り返ります。

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顔から落ちなかった照ノ富士

だから相撲ファンはやめられない。

14日目、1敗で単独トップの大関照ノ富士に、3敗の西前頭8枚目の遠藤が勝った。軍配は照ノ富士に上がったが、物言いがつき、長い協議の末、行司軍配差し違いでの遠藤が勝利をつかんだ。

土俵際、照ノ富士の小手投げと掛け投げにより、遠藤は体が裏返しになり髷が土につきそうになりながら下手投げ。相撲は「顔から落ちろ」と言われるが、照ノ富士は顔から落ちず、遠藤より微妙に早く右肘を土につけた。土俵際で落ちていく2人の姿、これぞ大相撲の醍醐味だ。

11日目に、照ノ富士は投げの途中で自然に妙義龍の髷に手が掛かってしまった。髷を掴んで引くのは反則だ。物言いで協議の末、「反則負け」を場内に告げたのは、照ノ富士の師匠の伊勢ヶ濱親方だった。

14日目も「軍配差し違いで遠藤の勝ち」を告げたのは伊勢ヶ濱親方。心情的にみると伊勢ヶ濱親方が気の毒になった。