美子ちゃんと出会って生き返った
ぼくがギャンブルをやめたのは、美子ちゃんと出会ってからです。
美子ちゃんと付き合い始めた頃は、競馬はやめていましたが、地下カジノに行ってバカラをよくやっていました。その地下カジノに、美子ちゃんを連れて行ったことがあるのですが、そこを出た時、「お金を取ったり取られたりして何が楽しいの!」と美子ちゃんが怒り出しました。「末井さんはもっと他にやることがあるでしょう」とも言われました。そう言われると、ギャンブルが何だかダサいもののように思えてきて、それがギャンブルをやめるきっかけになりました(パチンコ、麻雀は、気分転換に今でもやっていますが)。
それまで付き合っていた、3人の女の人とも別れました。一番恐かった人に事情を話すと、「良かったじゃない」と言ってくれたのでほっとしました。「最後に1回しようよ」と言う人もいて、それまでの自分だったらしていたかもしれませんが、グッと我慢して断りました。もう1人の人とはかなりクールに別れました。
美子ちゃんと暮らしたいと思うようになったのですが、美子ちゃんは結婚していたし、ぼくも妻がいました。とりあえず、ぼくが家を出れば何とかなるだろうと思い、手提げの紙袋2つに衣類を詰め込んで家を出て、ホテルを転々としていました。
当時の妻とはのちに離婚手続きをすることになるのですが、条件は家を渡すこと、ローンはぼくが払うこと、貯金は半分ずつ分けること、毎月30万円送金することで話がつき、離婚が決まりました。
持っていた不動産は全部売りました。かなり値下がりしていて、残債が1億9千万円残ったのですが、美子ちゃんが知っている弁護士にお願いして、銀行と交渉してもらいました。ある銀行は、8,500万円の残債を350万円でチャラにしてくれました。またある銀行は、4,000万円ある残債を、月々5万円ずつ払うことで承諾してくれました。借金がなくなったわけではないのですが、前のような胃が痛くなるようなストレスは無くなりました。