パチンコ番組の収録(ヒロシ・ヤングさんと/撮影:河野蔵人)
編集者で作家、そしてサックスプレイヤー、複数の顔を持つ末井昭さんが、72歳の今、コロナ禍中で「死」について考える連載「100歳まで生きてどうするんですか?」。母、義母、父の死にざまを追った「母親は30歳、父親は71歳でろくでもない死に方をした」が話題になりました。第12回は、「後期23歳」のお話です。

第11回●「思い出と生きていく人、死者と共に暮らす人」

73歳ではなく、後期23歳

ぼくは50歳を境に生き方が大きく変わりました。

もし100歳まで生きられるとしたら、50歳までが前期、50歳以降が後期と、きっちり半分に分けられます。50歳で年齢をリセットして1歳から数えると、ぼくはもうすぐ23歳になるところです。これからは73歳ではなく、後期23歳になろうと思っています。

後期23歳という意識を持てば、自分が老いて行くことを、前期とは違った新しい生き方として捉えることが出来、前向きになれるような気がします。まやかしと言ってしまえばそれまでですが、体力や記憶力の衰えに伴う考え方や行動パターンの変化を、悲観的に見るのではなく、新しい人生の始まりとして捉え、それを観察する気になれば老後も楽しくなるのではないでしょうか。実際、若い人が我々を見ると、全く違った人間に見えるはずですから。