手術前夜、睡眠導入剤で寝る

和やかに説明の時間は終わり、部屋に戻ると、やっぱり怖くなった。

術後はどんな様子なのか。

元通りになるのか。

初めてのことは怖い。それに夜は恐怖が増す。寝なくては。手術をするのに必要なのは体力だ。いくら食欲がなくても栄養をとり、眠れなくても睡眠をとらなくてはいけない。楽しんで喜んで食事をとれる有り難さは、こうなってみてわかるものだ。

娘には病気のことが言えなかった(写真提供◎青木さん)
 

わたしは、睡眠導入剤をもらい、どうにかこうにか寝た。

翌日は朝から、検温、血圧、血液検査、気管支鏡。次から次へと呼ばれる。
少しベッドから離れて戻ってくると
「あ、帰ってましたか、探してました!」
なんて言われて、スターのような忙しさである。

手術着に着替え、車椅子で手術室に向かい部屋に入ると先生方がにこやかに談笑していて、わたしはやっぱり怖くなって、なかなか手術台に上がれなかった。

仕方なく台に上がり、「ちょっと待ってください、いつ眠くなるんですかねえ」とかごちゃごちゃ言いながら記憶を失い、起きたらICUにいた。

〈つづく〉

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10月20日から白井晃 演出の「Home I'm Darling ~愛しのマイホーム~」(シアタークリエなど)に出演する。