鯖寿司とにゅうめんのセット(1000円)。鯖寿司は仕込んだ塩鯖を朝一番に京都の「千鳥酢」に浸け、食べ頃を巻き寿司風にして提供。夜は一品で楽しめ、持ち帰り用は海苔の代わりに求肥昆布が巻かれる。にゅうめんは、甘い揚げと自家製の肉味噌をトッピング。味噌を溶かしながら味わうと味に変化が生まれる。6~8月は冷たい麺に(撮影:伊藤信)

肩肘張らずに京の味覚を

昼は定食が揃う食堂、夜は一品料理中心の居酒屋として、地元の人たちが贔屓にする「てらまち福田」。一人で厨房を切り盛りする店主の福田竹志さんは、人気料亭「和久傳」の系列店や予約至難の「京天神野口」などで培った経験を生かし、割烹のような「過ぎず、程よい」料理を目指している。

常連客に人気の日替わり定食(850円)。地鶏を使ったおかずが多く、この日はゆばあんかけに冷ややっこ、あさりとしめじと昆布の佃煮、ゼンマイと生節の白和えがつく(撮影:伊藤信)

5種類のランチはいずれもお手頃価格。京都色の強い料理もあって、観光客に人気なのがこの鯖寿司とにゅうめんのセットだ。京都では鯖寿司はお祭りに欠かせない行事食の一つ。店ごと、家庭ごとの味があるが、こちらのは身厚の鯖と醤油で味をつけた寿司飯を海苔巻き風に仕立てたもの。鯖の厚みや脂ののり具合に合わせて塩や酢の量を加減し、半生に仕上げるのが特徴だ。もう一品のにゅうめんは、季節感を出すために毎月トッピングの具材を替えている。

「意識はしていませんが使う野菜や豆腐、お揚げなどはほぼ京都のもの。地元の常連さんは、仕入れ先を変えただけですぐ気づかはるんです(笑)」。日替わり定食には丹波地鶏を使ったおかずを出すことが多く、小鉢の白和えの生節や佃煮は自家製。肩肘張らず京の味覚を楽しめ、予約不要で、一人で立ち寄れる気楽さも魅力だ。