あやふやなひざ痛対策を東大教授が一刀両断!(イラスト:なとみみわ)
多くの人が抱えるひざのトラブル。痛みを抑えたいとネットを調べれば「温めよう」「冷やすべき」「安静にして」「動かそう」と、出てくる対策もバラバラ……。そうした巷(ちまた)にあふれるあやふやな情報を、20年以上ひざを研究してきた整形外科医で東京大学大学院教授の福井尚志(ふくいなおし)先生と、大人の運動能力開発に携わってきた東京大学名誉教授の深代千之(ふかしろせんし)先生が一刀両断します!

ひざの痛みはガマンするしかないのか

Q.  軟骨が元に戻らないなら、ひざの痛みはガマンするしかないのでしょうか?

A.  前提として「軟骨がすり減る=痛みが生じる」ではありません。

中高年に起こりやすい「変形性ひざ関節症」は、軟骨がすり減るから痛いと教わった人もいるかもしれません。

ところが、東京大学医学部の研究グループが2005年から行った調査では、X線で変形性ひざ関節症と推定された人(軟骨がすり減っていた人)は全国で2400万人。そのうち痛みのある人は820万人で、残りの1580万人は、とくに痛みもなく生活しているという結果でした。

軟骨がすり減って痛みを感じている人は、そうでない人よりもはるかに少なかったのです。