猫と仏壇(写真提供:末井さん)
編集者で作家、そしてサックスプレイヤー、複数の顔を持つ末井昭さんが、72歳の今、コロナ禍中で「死」について考える連載「100歳まで生きてどうするんですか?」。母、義母、父の死にざまを追った「母親は30歳、父親は71歳でろくでもない死に方をした」が話題になりました。第14回は、「『楢山節考』と『冷い夏、暑い夏』」です。

第13回●「妻の母・和子さんの死。額に手を当てるとまだ温かかった」

72歳の誕生日なのに『ミッドサマー』を観て

先日、73歳の誕生日を迎えました。

1年前の72歳の誕生日は、妻の美子ちゃんと『ミッドサマー』(監督 アリ・アスター)というホラー映画を観に行きました。その映画は、アメリカの大学生グループが、スウェーデン奥地の閉ざされた村のお祭り「夏至祭」(ミッドサマー)に招かれて、1人を除いてみんな殺されるという映画でした。

そのなかで、大学生グループが村の人たちと広場で祝祭の食事会をしている時、72歳になった老人男女2人が、高い崖から姿を現し、1人ずつ飛び降りてグジャグジャになるシーンがありました。偶然とはいえ「72歳の誕生日なのに、72歳でグジャグジャになるのを見るのは嫌だなぁ」と思ったのでした。

今年の誕生日は、深沢七郎さんの小説「楢山節考」(短編小説集『楢山節考』に収録・新潮文庫)を読みました。70歳になった年寄りが山に捨てられる話です。『ミッドサマー』も「楢山節考」も、ある年齢に達したら死ななければならない掟がある村の話ですが、あえて共通したものを選んだ訳ではなくただの偶然でした。

何故「楢山節考」を読みたくなったのかというと、先月美子ちゃんのお母さんが亡くなったこともあって、自分は何歳まで生きるんだろう、何歳まで生きればいいんだろう、どういうふうに死ぬんだろう、みたいなことをぼんやり考えていたからだと思います。