「思えばデビューした時からずっと『魔性の女』と言われていて、最初は本当にいやでした。なのに、40歳を過ぎたころから気にならなくなってきて。今は、「人を惑わすくらい魅力的ということね。ありがたい」と思う(笑)」

子育てで深く悩んだ経験は、実はないんです。息子たちが反抗期に突入した時も、私は彼らがどうしたいのかを眺めるだけで、特に干渉せずに放っておきました。

お金の話を子どもにしない親御さんも多いかもしれませんが、私は折にふれてしてきました。「あなたには年間これだけの学費がかかっている。支払うためにお母さんは何日働かなきゃいけない。足りない分はどうする?」と。彼らもそれを理解したうえで勉強に励んでいたように思います。

 

母はストレスからの逃げ場

子育てに関しては、大先輩である母にずいぶん助けられてきました。子どもと私がちょっとギスギスした時も、母がフォローして、いい緩衝材になってくれる。

悩んだり困ったりした時には話を聞いてもらいますし、私にとってストレスからの逃げ場になっているなと思います。……と言いながらも、しょっちゅう喧嘩しますよ(笑)。原因は些細なことばかり。洗い物の順番が違うとか、モノが置いてあるべきところにないとか。

私は几帳面で何ごとも手順通りにやりたいタイプですが、母は大らか。つい私が注意すると「もう、うるさい!」と。たまに私が言い過ぎてしまう時があると、母は自分の部屋にこもってしまうんです。

でもどんなに長引いても、夕食の時間に子どもが呼びに行くと、やってきて、「いただきます」と怒った顔で食べる(笑)。それで、喧嘩はおしまいです。

わが家にとって、食卓はただ「ご飯を食べる場所」ではありません。母や子どもたちとコミュニケーションを取る場であり、困難に直面した時の心の拠り所でもある。今後もし何か大変なことが起きても、家族で食卓を囲んでさえいれば乗り切れると信じています。