報道と医療現場の空気感の乖離

坂本 『臨床の砦』の中で、あるドクターがテレビのニュースを見ながら「どうしてこんなに現場の空気と乖離しているんですかね」とつぶやくシーンがありますよね。あれはこの1年半私が感じてきたことです。情報番組を見ていると、コロナ関連の報道は、恐怖をあおってみたり、妙に楽観的であったりのどちらかに振れていることが多い。医療現場の空気感が反映されていません。

夏川 おっしゃる通りです。「感染者がこんなに増えて大変だ」と伝えた直後に、公園で飲み歩いている人を映し出す。刺激的な情報だけを流しているせいで、みんな不安になります。バランスのとれた判断ができなくなる情報がどんどん入ってくるのですから。

坂本 そう思います。ていねいな情報提供の場が、限られています。ワクチン接種はパンデミックの出口に向かうほぼ唯一の手段です。長年研究されてきた技術に補助金がついたことで、驚くほど効果も安全性も高いワクチンができた。接種が進んだ国では、コロナ以前の日常が戻っています。

でも、国内では「A万人に接種後、B人死亡」というヘッドラインのニュースが流れる。それは、もともとの病気で接種後に亡くなったケースだったりするのですが、正確性よりも注目を集めることを重視した報道姿勢が相変わらず目立ちます。

もちろん、接種を強制することはできないし、するつもりもありません。ただ、正確な情報を得て、自分にとって最善の道を選び取ってもらいたい。正確でわかりやすい情報発信をしている情報源があります。そういう信頼性の高い情報をもとに、後悔のない選択をしていただきたいと思います。

〈信頼性の高いワクチン情報〉

●厚生労働省特設サイト
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

●首相官邸新型コロナワクチンについて
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

●こびナビ(新型コロナ情報提供プロジェクト)
https://covnavi.jp/

●コロワくんの相談室
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