新型コロナを気にして受診を先延ばしに

みねちゃんはトップに、私はトップを目前に結婚、退団。個人的に話す機会は減りましたが、歌舞伎観劇の時には、お客様へのご挨拶でロビーに立っている私に「イーちゃん! 元気?」と声をかけてくれました。

その後、宝塚のOGが集まるイベントでよく一緒になり、交流が再開しました。最後に共演したのは20年の1月、東京・イイノホールでのラテンコンサートです。2年前にみねちゃんのお母さんが亡くなったので、お母さんの思い出話をしたり。少し痩せてたので、「体は大丈夫?」と聞いたら「絶好調でもないけど元気だよ」と言ってたんですけどね……。

その後、2月に首のあたりがプクッと腫れているのに気付いて、「がんやったりして〜」と冗談を言ってたらしいんです。でも新型コロナウイルスの感染が広がってきた時期で受診をためらい、結局初めて診てもらったのが7月だったと聞きました。

私自身も去年の夏、背骨を圧迫骨折したんです。その時はみねちゃんが「大丈夫? 気をつけないと」と心配してくれてたんです。

寿さん(左)と峰さん(右)の振袖姿(写真提供◎寿さん)

21年3月に出演が決まっていたイイノホールでのショーで、みねちゃんは「深川」を踊りたいと希望していました。実はプロデューサーに「もう声が出にくいので、歌ではなく踊りだけでお願いします。これが最後の舞台になるかもしれないから」と伝えていたそうです。余命3ヵ月と医師から聞いていたらしく、覚悟していたんですね。ほんとにみねちゃんらしい。なんにも言わずに逝っちゃった……。

ペイと2人で自宅にお別れに行きました。抗がん剤治療でいったん全部抜けた毛が生えて、ベリーショートみたいで「みねちゃん、かっこいいよ」と声をかけました。とてもきれいでしたね……。眠っているようなみねちゃんの横で話が尽きず、「今頃、あんたらうるさいわ! と言うてるやろね」と泣きながら笑いました。

私はみねちゃんのお母さんが、「峰子、そんなつらい思いせんとはよこっちへおいで」と呼びはった気がするんです。今頃、お母さんに思いっ切り甘えてるんじゃないでしょうか。

いつの日か、ペイと2人でみねちゃんを偲ぶディナーショーをしたい。今はそれを目標に、前に進んでいこうと思います。みねちゃん、今までありがとうね。