「僕にとって、物心ついたときから演歌は生活の一部。小学校に上がるまでは周囲の友達も全員、演歌を聴いているものだと勘違いしていたくらいです(笑)」(撮影:本社写真部)
デビュー4年目となる演歌歌手・辰巳ゆうとさん。大学在学中にデビューし、活動をつづけながら2020年、コロナ禍で無事卒業。その後、路上ライブをはじめ、YouTube配信などさまざまな経験を糧にして、華やかで自分らしいステージを夢見ています。歌手をめざしたきっかけから、デビュー当初の苦労、これからの目標や最近のリフレッシュ法までを聞きました(構成=上田恵子 撮影=本社写真部)

演歌好きの祖父母の影響で

2018年に「下町純情」という曲でデビューし、演歌歌手として活動をはじめて4年目になります。よく「若いのに演歌とは珍しいね」と言われますが、幼いころ、大の演歌好きの祖父母が歌うのを聞いていたんです。

おじいちゃん子だった僕は、よくカラオケについて行きました。そこで見よう見まねで歌うと、おじいちゃんたちがすごく喜んでくれました。祖父母が青春時代に聴いていた三橋美智也さんや春日八郎さんの曲を教えてもらって、一生懸命歌った記憶があります。そんな僕にとって、物心ついたときから演歌は生活の一部。小学校に上がるまでは周囲の友達も全員、演歌を聴いているものだと勘違いしていたくらいです。(笑)

「将来は演歌歌手になりたい」と思うようになったきっかけは、今の所属事務所の先輩である氷川きよしさんが歌番組で歌う姿を見たこと。成長するにつれて、J-POPや洋楽も聴くようになったものの、自分で歌いたいと思うのは体に馴染んだ演歌だったのです。

転機は、中学1年生のとき。所属事務所主催の「ティーンズカラオケ大会」での優勝でした。それまでも地元のカラオケ教室で歌の基礎を習ったりしていたのですが、中学生という多感な時期に「がんばれば本当に演歌歌手になれるかもしれない」という希望が生まれたことはすごく大きくて。この優勝を機に、本格的にプロを目指す方向へと意識が変わりました。

とはいえ、中学時代は勉強を優先していましたし、野球部で部活動もしていたため、本格的なレッスンをスタートしたのは高校生になってから。事務所の紹介で月に2回、大阪から東京に通ってボイストレーニングを受けていました。両親も最初は、まさか僕がプロを目指すとは思っていなかったようですが、本気だということがわかってからは、全面的にサポートをしてくれました。

高校卒業後は東京の大学へ進学。専攻は英語です。両親から「大学だけは卒業しなさい」と言われたこともあり、仕事をしながら勉強を続けて2020年3月に卒業しました。当時は学業、ボイトレと並行して、先輩方のファンクラブの会報を封筒に入れる作業など、事務所の雑用もしていましたね。