「お金を増やしたい」とパチンコや麻雀を
小倉 僕は、借金やギャンブルの話なんて、今までしたことなかったよ。苦労しました、とは話してますけど。「若気の至り」じゃ済まされないほど親にも迷惑をかけた。でももう74歳にもなったから、そろそろいいかな。(笑)
青木 私は依存症というより、とにかくお金がなくて、短期でどうにか増やせないかっていう発想でパチンコや麻雀をやってましたね。
小倉 本には、お母さんに借金の無心をするシーンがあったでしょ? 結構強気で。僕は友達に借金するより、親に借金するほうがつらかったな。青木さんは支配的で批判的なお母さんを憎んでいたから、かえって、金の無心ができたみたいなところがあるの?
青木 そうかもしれません。
小倉 僕は母親との確執はなかったけれど、誰からも借りられない時に借金をすることがあった。母親は看護師をやっていた人なの。勤めている病院に訪ねていくと、やや太り気味の母親が、白衣で階段を降りてくるんですよ。手にがまぐち持って。「今日これしかなくてごめんね」って1万円か2万円渡してくれる。「どっちがごめんなさいなんだ」と心の中で思いながら、借りるんです。そのつらさは今でもずっと忘れられない。
青木 私の場合は、当時、自分でお金を稼いでいなかったから、ありがたみがわからなかったのかもしれません。稼ぐようになってから、大変に申し訳ないことをしたとやっとわかりました。母は私に遺産まで残してくれたんです。
小倉 そうなの。お母さんはあなたのこと憎んでいたわけではないんだろうね。
青木 そうかもしれません。