「家族をはじめ、女の人に支えられている自覚もあり、女性ってかっこいいと思っています。」

映画では、幼なじみの世津を有村架純さんが、僕の弟・裕之を三浦春馬くんが演じています。2人とは何度か共演させてもらっているので、すごく心強かったですね。特に春馬くんは、10代の頃からともにこの世界で過ごしてきた同世代の役者の一人。やっぱり最高だなとあらためて思いました。ライバルのような部分もありながら「一緒にここまで来たよね、俺たち」と感じ合える人はあまりいないですから。

そして架純さんは、ものすごくしっかりしているんですよ。架純さん演じる世津は、戦時下でも冷静に未来を見据えている女性。芯の強い彼女と重なる部分がある役柄だと思いました。

修の母親役は田中裕子さん。12年の舞台『海辺のカフカ』以降、何度かご一緒している大好きな方です。現場では緊張もしますが、同時に「裕子さんがいてくれるから大丈夫」と安心して臨めます。今回も、作品を通して静かな眼差しで息子たちを見守る、深い母の愛を感じました。

 有村架純さん演じる世津(左)と、田中裕子さん演じる修の母・フミ(中央)   (C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

僕は、これをやろうと決めたら一所懸命取り組むのですが、どこまでも行っちゃうみたいなところがあって(笑)。家族をはじめ、女の人に支えられている自覚もあり、女性ってかっこいいと思っています。

映画のテーマは重いものの、研究を離れれば修は普通の若者で、僕たちと同じような悩みを抱えています。それに、目の前のことに夢中になって没入していくところは僕にもある。

青春を楽しんだり家族と過ごしたりと、温かな時間もちゃんとあって、戦時下といえども、人としてのあり方は現在と変わらないことを知りました。なかでも修と世津と裕之が京丹後の海で過ごすシーンがとても美しいので、ぜひご覧ください。