青木さやかさんの連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。今回は、「自宅のリノベーション経験」について、赤裸々に語ります。
友人の家が気に入り、購入
2017年、マンションを購入した。
築20年。50平米の2LDK。4階。西向き。ベランダ広め。
元々友人が住んでいるマンションで、よく遊びにきていた。目の前が公園で春には桜が満開で、夕日がそれは美しく、初めて西向きの良さを知った。
友人はキッチンに立つ時間が長いからと、キッチンから一番綺麗に
西側の景色がみえるように部屋をリノベーションしていた。
あまりにそのマンションが好きになり、どこかの部屋が売りに出てたら教えてね
と友人に頼んだ。
「売るみたいだよ、4階」
連絡がきて、すぐに見に行った。まだその部屋のオーナーさんがお住まいだった。
「いらっしゃい」
お一人住まいのご年配の男性だった。
「ずいぶん前に娘のために購入したんですけどね、娘は結局住まずに、私が住んでたんです。もういい加減家に戻ってきなさいと奥さんに言われてね。ははは」
「そうなんですね」
「すごくいいでしょう?富士山がみえるんですよ」
「ほんとだ!」
「この大きな窓からね、季節を感じるんですよ。春の公園は素晴らしいし、冬の夕日は見事ですよ」
「そうなんですね」
「特にこの辺りに座って、外をみているのが大好きでね、時間が経つのを忘れてしまうんですよ」
「はい」
「いいでしょう?」
「はい」