「長年続けるなかで、私自身嬉しく感じるのは、役の成長が感じられる台詞を発見した瞬間です」(撮影=篠山紀信)
現在発売中の『婦人公論』9月14日号の表紙は女優の沢口靖子さんです。1984年に「東宝シンデレラ」のグランプリに。翌85年にはNHKの朝ドラ『澪つくし』のヒロインを演じて話題となりました。女優の仕事を始めて37年になるという沢口さん。その女優人生の半分以上の間演じてきた『科捜研の女』榊マリコと、自分が似ている部分とは――。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。(撮影=篠山紀信 構成=篠藤ゆり)

ひたすら役の気持ちになりきることに集中

気がつくと、女優の仕事を始めてもう37年になります。そのうち22年間は、ドラマ『科捜研の女』で榊マリコ役を演じてきました。

最新の科学捜査技術に基づいて事件が解明されていくのが、この作品ならではの面白さです。それに加えて、人間のあらゆる感情が丁寧に、そして温かく描かれているところも、長く愛される理由なのではないかと思っています。

長年続けるなかで、私自身嬉しく感じるのは、役の成長が感じられる台詞を発見した瞬間です。マリコは最初の頃は科学一辺倒だったのに、殉職した木場刑事の「犯罪だけではなく人を見ろ」という言葉に触発され、価値観を変えていったのです。人をやさしく見つめる女性に成長しました。

マリコは猫のようにマイペースで、結果的に周囲の人を巻き込んでいきますが、そういうところは私とはちょっと違いますね。私はもう少し慎重です。ただ、正確さや規則正しさを重視するところは似ているんじゃないでしょうか。

私もルーティンをきちっと守るタイプ。仕事がないときも、早寝早起きです。規則正しく過ごすのは、もともとの性格もありますが、やはり女優という肉体的にもハードな仕事をしているから。健康第一なので、疲れたら早めに寝るようにしています。たっぷり睡眠を取れば、心の疲れも取れて元気になれますから。