映像やゲーム・コミックをきっかけに

一方で、近年、BBCドラマ『SHERLOCK/シャーロック』や、ガイ・リッチー監督映画『シャーロック・ホームズ』によって、ホームズ人気及び認知度が一気に上がった。さらにはコンピュータゲーム『大逆転裁判』やスマホ用ゲーム『Fate/Grand Order』(通称FGO)のキャラクターとしてホームズが採用されたことにより、より広範囲でホームズが知られるようになった。『憂国のモリアーティ』のように、ホームズの登場人物をアレンジしたコミックも、多数描かれている。

『憂国のモリアーティ』(三好輝・竹内 良輔:著/コナン・ドイル:企画・原案/集英社)

今般、宝塚・宙組でもミュージカル化された。しかし、SNSなどの発言を見ていると、ホームズについて「どれから読んだらいいのかわからない」「どの順番に読むのが正しいのか」「翻訳の種類が多いがどれを選べばいいのだろうか」といった声があったのだ。これには、ああそうか、とかえって目からウロコが落ちた。ホームズをよく知っている人間には、思いつきにくい疑問である。

活字以外のメディアでシャーロック・ホームズに触れて、「原作はどうなっているのだろう」と思った人は、ぜひとも原作を読んでみてほしい。原作読了後に改めて映像やゲームやコミックを噛み締めると、面白さが何倍にも増えることは確実だ。

 

『初歩からのシャーロック・ホームズ』(北原尚彦:著/中公新書ラクレ)