共に店を切り盛りする、孫の康二郎さんと

気軽に薬剤師へ相談してほしい

読者の皆さんなら覚えていらっしゃるかもしれませんが、昭和の頃の薬局は、調剤室に「感冒薬」とか「整腸薬」とか書かれた瓶がずらりと並んでいましたでしょう。そこへお客様がいらして、「夏風邪をひいたみたい」とおっしゃると、私たち薬剤師がいろいろと症状をお聞きして、何種類かの感冒薬のなかから、「喉の痛みにはこれ、鼻水にはこれ」と、それぞれ分量を計って調剤していました。

それを薬包紙という薄いパラフィン紙に服用1回分ずつ包み、「3日4日飲んで、思わしくないようならまた来てくださいね」とお伝えして渡します。もし熱でも出てきたら、「お医者さんに行ってください」とアドバイスをするというかたちでした。

昔はちょっとした不調なら薬局で相談を受けていたものです。今はまず病院に行って処方箋をもらって、それから薬局で調剤を受けなければならないから手間がかかる。病院ではお医者さんも忙しいので、あまり詳しくご相談もできないことが多いと思います。

その点、私たちのような地域の薬局はお客様と親しくお話をしながら、いろいろな健康の悩みをお聞きすることができる。長年のお付き合いで、その方の体質などもわかったうえで薬の飲み方や食生活のアドバイスもできますしね。

ヒルマ薬局では、この頃は見かけなくなった薬局製剤(薬剤師の判断で調合できる処方)もご用意しています。それを目当てに来てくださるお客様もたくさんいらっしゃるんですよ。通りがかりにお店の外から、「このあいだはありがとう、すっかりよくなったわ!」なんて声をかけてくださると、嬉しくなります。本当にやりがいのある仕事です。

お薬についてわからないことや気になることがあったら、気軽に薬剤師へ相談してほしい。「夏バテかしら」でも「最近疲れやすくて」でもいいのです。何でも話せる「かかりつけ薬剤師」を持つことも、大切な健康管理の一つではないでしょうか。