左から綾小路翔さん、ヒャダインさん、清水ミチコさん(撮影:木村直軌)
今回のゲストは、孤高のヤンクロックバンド「氣志團」の團長を務める綾小路翔さんと、アイドルからビックアーティストまで、幅広く楽曲提供を行うヒャダインさん。清水ミチコさんとのとりとめのない会話の端々に、これまでの人生経験に根差した、2人の観察力、分析力の高さがうかがえます――(撮影=木村直軌 構成=本誌編集部)

<前編よりつづく

面倒な柵

ヒャダイン 僕は同じ業界に知り合いもいないし、ライバルという認識もあまりなくて。翔さんと違って縦社会を知らずに生きてきたので、この世界でよかった。ミッちゃんには、そういう面倒な柵はありましたか。

清水 縦社会はなかったけど、お笑いの世界は男社会ではあったから。まあ実際、男性のほうが腕もあったし、命を懸けるくらいの情熱を感じたのも確かだけどね。

ヒャダイン 最近の芸人さんを取り巻く環境は、ずいぶん変わった印象がありますよね。女性芸人さんの扱いも変わってきましたし。僕はもともと容姿をいじる笑いが好きではなかったので、健康的になってきたなと感じています。

清水 視聴者が、女性芸人をきちんと見ようとしてくれるようになったところも大きいと思う。ヒャダインさんの音楽人生は、何歳くらいから落ち着いてきた感じ?

ヒャダイン うーん、でもバイトを辞められたのは28歳くらいなんですよ。それまで生活の9割9分がバイトで。渋谷のTSUTAYAや引っ越しバイトもやりました。

重い荷物を運んで吐きそうになるまで働いたあと、「これが1万5000円の仕事や」って先輩から言われて。違うと思ったんですよ、そのとき。そんなことはない、1万5000円稼ぐのにもっとほかの方法があるはずだって。(笑)