「違うと思ったんですよ、そのとき。そんなことはない、1万5000円稼ぐのにもっとほかの方法があるはずだって。(笑)」(ヒャダインさん)

全日制に行ってただけで、インテリ扱いしてくれる

綾小路 中学のとき、同じことを感じたなあ。まわりに「ほかの方法」を知らない人がいっぱいいたから。ツッパリの先輩はカッコよくて、ヒーローで、みんな「俺たちは高校なんか行かない」って言ってて。

でもその先は、たとえば肉体労働だとか、あまり多くの選択肢はないんですね。仮にあったとしてもそこに至る発想がなかった。再び新たなヒエラルキーの一番下に入って、喧嘩が強いだけじゃどうにもならない社会を悟っていく。「あ、これは僕の何年後かのサンプルだ」と思ったんですよ。

清水 それでバンドに向かった。

綾小路 僕なんて、言うほど腕力もないですし。そこでのし上がっていった同級生や先輩もいますけど、いまとなってはほとんどの人に「お前みたいに勉強すりゃあよかったよ」って言われるんです。

清水 勉強してたの?(笑)

綾小路 いえ、まったく。僕の周囲は全日制に行ってただけで、インテリ扱いしてくれるので。(笑)

清水 地元の応援は根強そう。

綾小路 正直、それほど歓迎されていないと長いこと感じていましたね(笑)。はじめての木更津公演なんて、街宣車が回ったんですよ。

清水 なんでよ。ちょっとこわすぎるんだけど。

綾小路 凱旋ギグで街宣車が回る。

ヒャダイン あははは。笑えない。

綾小路 大昔、地元のなんというか……いわゆる稼業人的な方面の方々から「なにか一緒にやろう」とお声がかかったらしくて。事務所としては当然お断りするわけで、それで怒らせちゃったようなんです。

不穏な空気が漂い続け、先輩たちにもいろいろ言われ。こちらで心配されれば、あちらで不安になるようなことを煽られたりして、で、ある日思い立って誰にも言わずに先方を訪ねて行ったんですよ。

ヒャダイン 命知らずな!