重要なのは「できること」「できないこと」に対策を分けること

親の年金や資産によって、どれだけの介護サービスを受けることができるか知ることも重要です。

残念ながら、ない袖は振れません。袖にいくらあるのか知らないで、介護をスタートさせてはいけません。まだ、意思能力がはっきりしているうちに思い切って財産の棚卸をするのです。普段使いしている通帳や定期預金の通帳を確認するだけでも十分。定期預金が意外にあることも多く、ここを解約して普通預金に変えておくだけで、当面のお金の工面ができます。

介護離職をしない人は、会社に事情をきちんと説明し、理解を得て仕事をしています。

さらに、公的介護サービスをうまく利用して、自分の時間も確保します。ショートステイ(短期間の宿泊)、デイサービス(日帰り)、ヘルパー(訪問介護員。「ホームヘルパー」ともいう)などを、ケアマネージャーと相談しながら活用しています。

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする人が介護を受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成や介護事業者との連絡や調整を行う、介護保険の専門家。ケアマネージャーは要介護認定されると利用でき、全額介護保険から給付されますので料金はかかりません。相性が悪ければ、ケアマネージャーは変えることができます。

また、介護施設に入りたくないという高齢者は多いのが実情。長年住み続けた愛着のある自宅から離れ、友人や家族と簡単に会えなくなるからです。こうした気持ちに配慮せずに、子どもの立場から一方的に施設への入居を勧めてしまうとトラブルになりかねません。この場合、ケアマネージャーから勧めてもらうとスムーズにいくケースもあります。身体のケアだけでなく、心のケアもあなた一人でかかえずに周りのサポートを受けながら行うことです。

まずは、資金、協力者などを確認しましょう。その上で「できること」「できないこと」に分けて対応策を考えることはとても大事です。

※本稿は、『老後の年表―人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(かんき出版)の一部を再編集したものです。


『人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(著:横手彰太/かんき出版)

著者は老後問題について1000人以上から相談を受け、79億円以上の財産管理をサポートしてきた老後問題解決コンサルタント。経済や法律の専門家、医師、不動産会社などプロフェッショナルによる情報を用い、お金(相続含む)、健康、人付き合い、生前整理など、老後にありがちな問題を解決へと導きます!