「しょうがないじゃない100歳なんだから」

いくつになっても、同じ曲を何百回演奏しても、新しい発見があるのがクラシックの素晴らしさだと思います。またその発見がなければ、聴いてくださる方に感動が伝わらないでしょう。コンサートの後、「家に帰ってからも音楽が胸に響いています」といった感想をいただくと、もう天にも昇らんばかりの嬉しさです。そんな幸福を味わうと、これからもまだまだ現役でいたいと思うのです。

2階にあるウォークインクローゼット。「形がシンプルなドレスを着る時ほどしゃんとしなければと思います」

考えてみれば私は、そうしていつも「今」を生きてきたといえるかもしれません。先のことをあれこれ心配しても、仕方がないですものね。

最近のコロナ騒動についても、ベートーヴェンを良い感じに弾けた時、思ったの。「コロナさん、私たちはこうして音楽に浸っていれば幸せなんだから。邪魔しないでくれたら、そのへんにいたっていいのよ」って。

100歳になると、「しょうがないじゃない100歳なんだから」って開き直れるから便利でもある。そう最近わかってきました。耳が遠くなってきたら、聞きたくないことは聞かないで済みますしね(笑)。そうして余計なことでは悩まず、楽しく音楽と向き合って人生を過ごしていきたいと思っています。

【関連記事】
フジコ・ヘミング「今は20匹の保護猫のためにピアノを弾くの。恋をしている瞬間が一番幸せ」
森山良子「わが子の愛する人を私も愛したい。小木一家、直太朗一家と食卓を囲む日々」
104歳の箱石シツイさん、聖火ランナーに。今も理容師として店に立ち続ける理由