70年間「理容ハコイシ」を営みつづける箱石シツイさん(撮影:本社写真部)
足腰しゃっきり、話は淀みなく、ユーモアもたっぷり。時には白衣を着て、理容師の仕事も──。そんな104歳のスーパーおばあちゃんが栃木県の山間に暮らしている。健康長寿の秘訣はいったいどこにあるのだろうか(構成=山田真理 撮影=本社写真部)

聖火リレーでは、200メートルを夢中で走った

まあ今日はこの画面越しにお話しするのですか?(※この日はオンラインのビデオ会議ツールを使った取材を実施) 最近はコロナのことがあって、人とお会いできないのが寂しいことですね。

お引き受けした聖火リレーのランナーも、コロナで1回延期になりましたでしょう。それまで1年間、1日も欠かさず練習をしてきましたから、最初はがっかりいたしました。この年齢ですから、翌年になっても走れるかしらと心配で。でも全国から「がんばって」という励ましのお便りやお電話をいただき、自分としても「お引き受けしたからには何としてもやり遂げなくては」と、また1年、一所懸命に練習いたしました。

3月28日の聖火リレーは、夜の8時近くにスタートしました。この日は雨も風も強くて、顔にあたると痛かったですよ。レインコートの裾が足にまとわりついて走りにくくてね。でも沿道でたくさんの方が応援してくださったので、200メートルを夢中で走りました。

最後は台に上って次の方に聖火をお繋ぎするのですが、5段あった木の階段の幅が狭いのと、雨で濡れていたのがちょっと怖くて。降りるときは息子(長男の英政さん)の手を借りて後ろ向きになったのですが、皆さんにお尻を向けることになって申し訳ないことでした。

この年になるまで元気でいる秘訣といっても、自分ではよくわからないのですよ。一つあるとすれば、30年以上続けている自己流の体操でしょうか。朝7時ごろに起きて着替えをしたら、体温を測って、それから始めます。