イラスト:小林マキ
近年、乳がんの発症率が高まっています。10月は、「乳がん検診」を呼びかけるピンクリボン月間です。そこで、がんの原因や早期発見のためのセルフチェック法、治療にあたって知っておきたいことを専門家に聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》)

9人に1人が罹るといわれているがん

乳がんは、女性が罹るがんの第1位。患者数は20年前と比較すると約2・5倍に増えており、9人に1人が罹るといわれています。乳がんが増えている要因の一つが、生活様式の変化にあると指摘するのは、聖路加国際病院副院長の山内英子先生。

「乳がんの発症に大きく関わっているのが、女性ホルモンのエストロゲンです。現代は、食生活の欧米化により摂取エネルギー量が増えたことから、初潮の低年齢化や閉経の高齢化が進んでいます。一生のうちにエストロゲンが分泌される年月が長くなると、乳がん細胞がつくられやすくなるのです。実際、月経のある年月が長ければ長いほど、乳がんの発症リスクが高まることがわかっています」

さらに、肥満も乳がんのリスクを高める要因となるそう。

「エストロゲンは脂肪細胞からも分泌されます。皮下脂肪が多い人ほど、その量も増えるため、閉経したからといって安心できないと覚えておきましょう。実際、乳がんの罹患率は、45歳~60代後半までの年代で高くなっています」

月経は自分ではコントロールできないものの、肥満は生活習慣の改善で解消できること。どのような治療が行われるのでしょうか。

「栄養バランスのよい食事と運動を心がけて、肥満を回避しましょう。飲酒の頻度や量が多い人ほどリスクが高いという研究報告がありますから、アルコールは控えめに。加えて大切なのが早期発見です。日ごろから自分の乳房の状態を観察するようにし、40歳からは必ず乳がん検診を受けてください」