「切除」と「薬物」治療で完治を目指す

乳がんが見つかった場合には、どのような治療が行われるのでしょうか。

「まずは、がんを取り除くことが治療の基本です。大きく分けて、乳房の一部を切除する『乳房温存手術』と、すべて切除する『乳房切除術』があり、再発リスクや患者さんの希望などを踏まえつつ、医師と相談して決めることになります」

がんの家族歴も切除方法を選択する材料の一つになる、と山内先生。

「家族歴から遺伝性乳がんとわかった場合、将来、もう一方の乳房や卵巣でもがんを発症するリスクがあるため、すべて切除することを提案することもあります」

切除後は、多くの場合、再発を予防するために、薬物治療を行うことになるそう。

「切除したがんの性質を調べたうえで、タイプに応じて治療を行います。主な薬物治療は、エストロゲンの影響を減らす『ホルモン治療』、がん細胞の死滅に大きな効果が期待できる『抗がん剤治療』、がん細胞の特定の物質に働きかける『分子標的治療』の3種類。抗がん剤治療や分子標的治療が約1年、ホルモン治療は5~10年と、治療法によっては長期にわたることもあります」

乳がんは比較的進行が遅いといわれているため、小さいうちに見つけることで、手術も治療も軽くすむ、と強調する山内先生。まずは手軽にできるセルフチェックを心がけたいところです。次から、その方法を詳しく紹介します。