3333万円が作家の売り上げの限界点となる理由

ギャラリストたちに聞くと、いま日本においてフルタイムで画家をやっている人は、だいたい30人から50人ぐらい。僕の感覚でも、そのくらいです。

僕の認識では、いまの日本での号単価のピーク、つまり高額な絵の号単価は、10万円から20万円ぐらいの範囲にあります。20万円と考え、10号を年間50点描いていくと、20 万円×10号×50点で1億円です。

作家の取り分はだいたい3割ですから、1億円売れると、取り分は約3333万円です。つまり、3333万円が、いまの日本の業界における作家のひとつの限界点だと考えています。

頑張っても、売り上げは3333万円。それが限界です。

もっと点数を描けばいいと思うかもしれませんが、それ以上描くためには、作品のマーケットへの過剰供給、作品の質の低下などの問題と向き合わなければならず、少なくとも僕のような作風では不可能です。

いままでの業界の絵の価格が、号単価10万円から20万円で止まっている理由は何か。

それは、価格に対する理由づけが、はっきりしていないのが一因です。

海外では、芸術品は資産形成の一部としてファンドに組み込まれたりしています。一方、日本においてはいわゆる「リセールバリュー(一度買った絵の再販価格)」が担保されていないことが原因で、買ったときがピークになりがち。売るときにはその何分の一にもなってしまうことが多く、それゆえ資産価値の観点から買う人がいない。

業界が価格の理由づけをし、売ったあとのケアまでできていないことが、マーケットの限界点を引き下げていると感じています。少しずつ変えていかなければなりません。